2018年8月12日日曜日

父の言葉「抽象画」「空の青さ」

(いしいたけるより)

父とは生前よく芸術について語り合ったんですが、特に記憶に残ってる内容がふたつある。

* 美そのものを描くための抽象画
* 空の青さに憧れて


父の作品の多くは抽象画だ。
父が言っていたのは、「具象では結局写真より写実的にはならない。美そのものを描くには抽象画のほうがいい」というようなことだ。
美というイデアを表現するのに、美のインスタンスである具象物を経由するとさらにそのコピーを描くことになるのでコピーのコピーになる。
抽象画のアプローチなら美にダイレクトにアプローチできると。


父が癌で亡くなる際、本人の希望で最後は自宅の父の部屋の父のベッドで迎えた。
最後に父と交わした会話で、父はなぜ自分が画家を志したのかを話してくれたらしい。しかしもう喋れる状態ではなかったので聞き取れた言葉はわずかだった。
それが「空の青さに憧れて…」だった。
空の青さに憧れたことが芸術に取り組む原点だったのだろう。
 

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